「第9回ワールドゲームズ2013カリ大会」銅メダル(男子南拳・南棍総合種目)と2選手が4位入賞

【掲載:2013年9月17日】

国際ワールドゲームズ協会(IWGA)が主催し,国際オリンピック委員会(IOC)が後援する「第9回ワールドゲームズ2013」が7月25日から8月4日の11日間,南米のコロンビア共和国・カリ市で開催された。大会には世界101の国・地域から3000人以上のトップアスリートが集結。観客など動員も50万人以上という史上最大の動員数を記録した大会となった。日本からは公式・公開18競技に76人の選手とエキシビション1競技に3人の選手が参加し,金メダル6個,銀メダル1個,銅メダル5個の計12個のメダルを獲得した。

公開種目として実施された「武術太極拳」競技は8月2~4日に行われ,套路種目,散打種目あわせて21カ国・地域が参加した。日本からは套路種目に監督と3人の選手が出場して,銅メダル1個と4位入賞2人の好成績を収めた。

「南半球にあるコロンビアは日本と季節が全く反対で真冬のためかなり寒く,調整に時間がかかった」と帰国直後に現地の様子を話してくれた日本代表選手団の李自力監督(日本連盟選手強化委員会強化コーチ)に大会報告を寄せてもらった。

 

大会レポート―――
李自力・日本連盟選手強化委員会強化コーチ

国際ワールドゲームズ協会が主催するワールドゲームズは,4年に一回開催される非オリンピック競技種目の総合スポーツ大会で,武術太極拳は公開種目として参加している。

今年はその第9回大会に当たり,武術太極拳は8月2~4日にコロンビア・カリ市で開催され,21カ国・地域から選手と役員が参加した。2011年に開催された「第11回世界武術選手権大会」の成績に基づき,日本の今大会への出場枠は男女の太極拳・太極剣と男子南拳・南棍,男子刀術・棍術となっていた。



日本代表選手団一行。左から藤沢佑,岸涼介,川口昂大の各選手と李自力監督


ワールドゲームズ今大会のスローガン「地球にフェアプレイ」

 

今年は世界選手権,東アジア選手権など国際大会が数多く開催されるため日本武術太極拳連盟は,今回若手選手の育成を図り,国際大会の大舞台での経験を積ませるべく,次の3人の選手を代表として派遣した。
①男子太極拳・太極剣藤沢 佑(秋田県連盟・21歳)
②男子南拳・南棍川口昂大(大阪府連盟・22歳)
③男子刀術・棍術岸 涼介(大阪府連盟・21歳)
監督 李自力(日本連盟選手強化委員会強化コーチ)

●大会で好成績



男子南拳・南棍総合3位の川口昂大選手(右),表彰式で

出発前,大会に臨んで日頃の練習成果を十二分に発揮し,好成績をあげられるよう東京の本部研修センターで2日間の短期集中特訓を行った。そこで選手の体力をアップし,技術レベルをできる限り最良の状態にまで調整すると同時に,選手が自身の能力を信じ最高の演技ができるよう,また試合中に様々なハプニングやミスがあっても,諦めることなく最後まで演じ切る精神力を保てるよう,各方面のケアを行った。

こうした事前準備と選手各人の努力によって,川口昂大選手は南拳・南棍で総合3位,藤沢佑選手は太極拳・太極剣で総合4位,岸涼介選手は刀術・棍術で総合4位と3選手ともに好成績を収めることができた。

 

●今後の課題

今回のように,2種目の総合得点で争う試合では,ノーミスが大前提である。特に選手同士のレベルが拮抗する大きな試合では,僅かなミスが順位を大きく左右する。ありがちなのは,第1種目で高得点を得たために,第2種目の演技の際に浮き足立ってしまったり,緊張のあまり実力が発揮できなくなってしまったりなど,精神面の安定を欠くケースである。



南米の観客は応援も陽気に

このような事態を避けるため,日頃から各方面の強化とケアについて対策を講じておく必要がある。

もうひとつの課題は,細部への心配りだ。武術の試合は様々な要素を総合した内容で争われる。

コート内での数分間に持てる能力を最大限発揮して,最高のパフォーマンスを行うことは言うまでもないが,コート外においても様々な事柄に心配りをすべきである。例えば,表演服の色や形,配色(選手の個性に合っているか),材質(体の動きをよりしなやかに引き立たせるか)や髪形,女子の化粧なども武術に要求される“勢い”を審判や観客に効果的にアピールする重要なアイテムであるから,こうした細部への心配りも欠かしてはならない。

参加国・地域 メダル獲得数 (套路種目のみ)

  国・地域名
1 中国 3 0 1 4
2 ベトナム 1 2 0 3
3 アメリカ 1 0 1 2
4 イラン 1 0 0 1
4 中国香港 1 0 0 1
4 インドネシア 1 0 0 1
7 マレーシア 0 2 2 4
8 カナダ 0 1 0 1
8 チリ 0 1 0 1
8 ブラジル 0 1 0 1
8 ロシア 0 1 0 1
12 日本 0 0 1 1
12 メキシコ 0 0 1 1
12 アルゼンチン 0 0 1 1
15 コロンビア 0 0 0 0
合計 8 8 7 23

*4年後に開かれる次回の第10回大会「ワールドゲームズ2017」の開催地はポーランドのヴロツワフ市に決定した。

日本代表選手成績一覧

種 目 氏 名 所 属 成 績
総 合 種目別
南 拳 川口 昂大 大阪府連盟 3位(銅)
(18. 80)
南拳3位(9. 40)
南 棍 南棍4位(9. 40)
刀 術 岸  涼介 大阪府連盟 4位
(19. 21)
刀術4位(9. 50)
棍 術 棍術2位(9. 71)
太極拳 藤沢  佑 秋田県連盟 4位
(19. 29)
太極拳4位(9. 58)
太極剣 太極剣3位(9. 71)