来年「第26回大会」からの統一デザインユニフォームについて

来年の「第26回全日本選手権大会」から
服装規定 = 統一デザインユニフォームの着用義務が拡大
第63回理事会で決定

【掲載:2008年06月15日】

 来年7月に開催される「第26回全日本武術太極拳選手権大会」から、現行の大会服装規定が変更され、統一デザインユニフォームの着用を義務付けられる種目が増加することが、6月21日に開催された第63回理事会で協議され、決定された。
 従来は、原則として「規定套路競技部門」や「国際大会代表選抜種目」で、統一デザインユニフォームの着用が義務付けられていた。

■統一デザインユニフォームの目的:
 武術太極拳は中国で生まれ、今やオリンピック正式種目化を目指す国際スポーツとして成長しつつある。しかしながら、他のスポーツと比べて競技大会としての歴史が浅いために、大会の服装規定が十分に確立されていないのが現状である。日本でも外国でも、武術太極拳の愛好者が、中国の伝統的なデザインの服装(表演服)を好んで着用し、競技大会に出場する傾向もある。
 日本連盟は早い段階から、武術太極拳を国際的な競技スポーツとして発展させるためには、競技大会の出場選手が思い思いの中国的なデザインの服装で出場することにたいして一定のルールを設け、競技大会としての風格を保つことが必要であると考えた。そのために、全国大会での統一デザインユニフォームの着用を義務付けてきた。
全国大会でも、ジュニア部門、24式太極拳、伝統太極拳、伝統拳術、集団種目等を除いて、規定套路部門などでは統一デザインユニフォームの着用を義務つける服装規定となっていた。
 太極拳、南拳、長拳の種目ごとに、統一デザインユニフォームのデザイン画が示されて、出場選手は、デザイン画に基づいて自分でユニフォームを製作してもよく、また、日本連盟指定のメーカー(ミズノ)等の製品を購入しても良いことになっている。

■競技種目の変遷と国際大会の影響:
1)国際競技大会での変遷:
 国際武術連盟(IWUF)が定めた服装規定は、太極拳、南拳、長拳ともに中国の伝統的なデザインによるものであったが、各種目ごとに統一されたデザインであった。ところが、ここ5~6年間、中国国内の競技大会では、服装は華美なデザインに自由化され、日本人の目から見ても、競技大会とは思えないものであった。
 2008年北京オリンピックの正式種目に申請をしているにもかかわらず、欧米のスポーツ界から見て、極めて中国ローカルなデザインの服装で競技を行なうことが、申請に有利に働くとは到底、考えられない事態であった。
 中国の選手は、国際大会においても華美なデザインの思い思いのユニフォームを着用して出場したので、各国の選手がこれに習う傾向となっていった。
 しかしながら、2007年に北京で開催さ れた「第9回世界武術選手権大会」では、中国代表選手の全員が、スポンサーのナイキ社の提供によるスポーティな統一デザインユニフォームで出場した。周知の通り、この大会は「2008年北京武術トーナメント」の選抜大会として実施された。中国はオリンピック種目化を求めるスポーツとして、ようやく服装規定の軌道修正を行い始めたと考えられる。世界の武術太極拳のリーダーである中国の、このような軌道修正は歓迎されるものである。

2)全日本選手権大会の競技種目の変遷:
 全日本選手権大会は年を追うごとに参加選手が増加し、また、新国際競技ルールによる自選難度競技が他の種目を圧迫することとなった。その結果、太極拳種目の統合が行なわれ、伝統太極拳の規定套路種目が廃止された。
 このなかで、今年の「第25回大会」では、統一デザインユニフォームの服装規定が適用されるのは、総合太極拳2種目と長拳A、南拳等の規定套路に限られることになった。

■統一デザインユニフォームの復活と強化:
 世界の武術太極拳界が求めてきた北京オリンピックの舞台での「武術トーナメント」が実現することとなった。日本国内でも今まで以上に武術太極拳が注目されることになるが、「2008年北京後」の発展のための方策として、ジュニア選手の育成・強化、社会体育としての更なる拡充などが、各方面で探られなければならない。
 これらの一環として、競技大会として国内で最も権威ある全日本選手権大会は、ユニフォーム問題をあらためて強化し、競技スポーツとしての面目を社会に示すことが求められる。

■統一デザインの着用が義務つけられる種目:
 2009年「第26回全日本選手権大会」から、統一デザインユニフォームの着用が義務付けられる種目は下記の通り。

1)規定競技部門:
6.ジュニア太極拳2、7.ジュニア太極拳1を除くすべての種目(1.総合太極拳AB、2.同C、3.24式太極拳A、4.24式太極拳B、5.24式太極拳C、8.長拳A、9.剣術A、10.刀術A、11.槍術A、12.棍術A、13.南拳、14.南刀、15.南棍

2)自選競技部門:
16.太極剣・刀、17.48式・88式太極拳、18.楊式太極拳、19.陳式太極拳、20.呉式太極拳、21.孫式太極拳

■義務付けられない種目:
 下記の種目は、統一デザインユニフォームの着用を義務付けられない。

3)規定難度競技部門:
22.太極拳、23.南拳、24.長拳(いずれもジュニア選手を対象としているため)

4)自選難度競技部門:
25.自選太極拳、26.自選太極剣、27.自選南拳、28.自選南拳器械、29.自選長拳、30.自選長拳器械(国際競技種目であるため、国内の服装規定を適用しない)

5)伝統競技部門:
31.伝統拳術A、32.伝統拳術B、33.伝統拳術C、34.伝統器械(伝統種目の風格を尊重するため)

6)団体競技部門:
35.対練、36.集団、37.太極拳推手規定套路

■太極拳のデザインを多様化、ミズノが開発:
 長年の間、太極拳、南拳、長拳の各種目とも統一デザインは1種類に限られていたが、このたび、ミズノ(株)は、太極拳の従来のデザインを改良し、さらに、2種類のデザインを追加し、デザインA、デザインB、デザインCの3種類とした。各デザインは、6色の生地を選ぶことができることとして、選択の幅を拡げたものとなっている。
 長拳、南拳(男女別デザイン)は、基本的に従来デザインのままとなっている。
 ミズノ製品の価格は従来と同額とし、注文方式も、従来通りに都道府県連盟を通じて行なうこととなる。
 このほど、日本連盟から都道府県連盟宛に、ミズノ(社)の新デザイン製品の案内として、デザイン画、生地見本、ユニフォームサイズ適合表、注文書が送付された。

■新デザインで自主製作も可:
 第63回理事会では、太極拳の3種類の統一デザインが承認されたので、大会出場選手はミズノ製品を購入しても良く、また、このデザイン画に基づいて自分で製作したものを着用しても良いことになる。
 今回の措置は、服装規定の適用種目を拡大するとともに、選手の製品の選択枝を拡げるものであるが、ミズノ社製を義務付けるものではない。

■日本連盟HPで見本閲覧も:
 本ホームページの「用品」欄に、同製品のカラーデザイン画とユニフォームサイズ適合表が掲示されているので、デザイン、カラーとサイズ選択の参考にすることができる。