「第24回JOCジュニアオリンピックカップ武術太極拳大会」全国のジュニア選手779人が頂上を目指して熱戦


(4月2・3日 大阪府熊取町・ひまわりドーム)

桜満開の下,全国精鋭のジュニア選手たちが集う

国際第三套路短器械種目の「太極剣・南刀・刀術・剣術」を新たに導入

【掲載:2016年4月15日】

公益社団法人日本武術太極拳連盟主催の「第24回JOCジュニアオリンピックカップ武術太極拳大会」が4月2日(土)・3日(日)の2日間にわたり,大阪府熊取町の熊取町立総合体育館(通称,ひまわりドーム)で開催された。桜満開の時季に当たったものの,天気はあいにくの花曇り。それでもジュニア選手たちの熱気で,大会は大いに盛り上がった。

主管はNPO法人大阪府武術太極拳連盟,後援はスポーツ庁,公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC),公益財団法人日本体育協会,大阪府,大阪府教育委員会,熊取町,熊取町教育委員会。協賛は,太極パートナーズ各社(アシックス,SK,石塚左玄医食研究所,島村運輸倉庫)の4社。東日本大震災後5年という節目に,「とどけよう スポーツの力を東北へ!」を心に刻み,「東日本大震災復興支援」を掲げた。

 



会場のひまわりドーム入口前で開場を待つ選手たち


大会プログラム・チラシ表紙

 

前年(前回)大会から導入された「国際第三套路」の徒手種目に加えて,今大会はさらに短器械種目を追加導入した。難度動作を伴う「太極剣」「南刀」「長拳短器械(刀術,剣術)」は,国際大会の年齢A組での必須種目となっている。本大会は国際大会(今年は「第6回世界ジュニア武術選手権大会(ブルガリア)」)と連動した大会として,毎回,日本代表候補選手の選考会を兼ねている。選考対象となるA組(16~18歳),B組(13~15歳),C組(7~12歳)の3つの年齢グループで男女各26種目と,国内普及種目の「ジュニア太極拳2」,「ジュニア太極拳1」の男女各2種目,合わせて男女計56種目の個人競技を実施した。

今大会は,国際第三套路種目と初級長拳種目について,全国の7ブロックでの選抜(選考)を行った。国際第三套路については,難度動作が含まれることで一定の体力や筋力が必要とされ,かつ技術的に難度に対しての知識や習熟が必要とされる種目であることから,出場申込時に必要最低限の条件付けを行い出場枠を設けた。また,同じく出場枠を設けた初級長拳では,年々出場者が増加する中で,審判員の公平,正確な採点に必要な時間帯を確保できなくなったための非常措置である。この出場枠については,来年の大会に向けて日本連盟選手強化委員会の中で,さらに懸案課題として検討をしていく。

JOCジュニアオリンピックカップ
坂本蓮(長拳・埼玉),花野宏美(太極拳・兵庫)の両選手が獲得

関西空港にほど近い熊取町は,武術太極拳の愛好者も多く,行政も生涯スポーツとして,太極拳の普及に協力的な町である。初日の開会式では,熊取町を代表して藤原敏司町長からの祝辞と応援を賜った。

競技はジュニア大会ならではの活気に満ちあふれ,観客席の応援も一段と盛り上がっていた。選手らに大きな故障などもなく,2日間すべての競技が無事に終了した。

最高賞であるクリスタルガラスの「JOCジュニアオリンピックカップ」を手にした今年のふたりの選手は,男子が,国際第三套路長拳1位,同長拳短器械1位の坂本蓮選手(埼玉県連盟),女子は,同じく国際第三套路太極拳1位,太極剣1位の成績を収めた花野宏美選手(兵庫県連盟)となった。

坂本蓮選手は「JOCカップは,武術を始めてから今日まで,一番めざしてきたものでもあったので,すごく光栄に思います。今後は,世界大会で1位をとり有名になれるよう頑張りたいです」とコメント,花野宏美選手は「光栄あるJOCカップをいただき本当に嬉しいです。予期していなかったのでビックリしています。応援いただいたみなさんに感謝です。今後は,この賞を励みにして,武術太極拳はもちろん,さまざまなことに取り組んで頑張っていきます」と喜びをコメントした。

両選手は今年を含め,今後の国際大会での活躍が大いに期待される。同時に,「オリンピック有望選手」として,今後JOCによる研修会や医学的サポートを受けることになる。

閉会式では山田証二大阪府連盟会長が挨拶をし,続いて村岡久平・日本連盟会長が,出場選手をはじめ,審判団,大会運営の関係者・スタッフを労い,観客のみなさんへの感謝を述べて,閉会の挨拶とした。

来年度の「第25回JOCジュニアオリンピックカップ武術太極拳大会」は来年4月に愛知県名古屋市で開催を予定している。


全4面のコートでジュニア選手たちが熱戦

ジュニアの歯切れの良い演武に会場が湧く

日本代表候補選手24人が選ばれる

3日(日)大会終了直後から,日本代表選手選考委員会による代表候補選考会議が会場の会議室で開かれ,「第6回世界ジュニア武術選手権大会」の年齢A組とB組から計24人の代表候補選手が選定された。今国際大会はC組の競技も行われるが,開催地が遠方(ブルガリア)であるため,C組の派遣は安全性を優先して不参加とした。

この代表候補選手の中から,6月18・19日に開かれる日本代表選手選考会により日本代表選手が正式に選ばれる。

日本代表候補選手の名簿は以下のリンク参照。


村岡久平日本連盟会長による開会の挨拶

今年のJOCジュニアオリンピックカップは「青色」が基調

入賞表彰を受ける「女子ジュニア太極拳2」の出場選手たち

「国際第三套路長拳」は難度用特別コートでの演武

今大会から導入した「国際第三套路短器械」種目の演武

JOCカップを手に喜びの表情をうかべる花野宏美選手(左)と坂本蓮選手(右)