岩手・宮城・福島-復興を願って(復興イベント報告)

のべ850人参加大震災からの復興を願って演武

岩手県連盟(竹内重徳会長)は11月26・27日の2日間,盛岡市の岩手県営武道館大道場で「第19回岩手県武術太極拳選手権大会」を開催した。大会は岩手県連盟創立20周年を記念して開かれ,全日本選手権県代表選抜部門に77人,交流部門の個人の部に56人,集団の部に49チーム・715人が参加した。

両日とも競技開始にあたって,今回の震災で犠牲になった方々に黙祷が捧げられた。

大会1日目は全日本選手権選抜部門と20周年記念式典の後,交流部門集団の部が実施された。

また,岩手県出身で第11回世界武術選手権大会(トルコ・アンカラ市)日本代表の吉田慎之佑選手による特別演武が披露されると,会場から大きな拍手が送られた。

交流部門集団の部は,20周年記念大会として,採点を行わない表演会形式で行われ,県内各地の団体が工夫こらして,それぞれが20周年とこれからの大震災からの復興への思いを込めて演武した。

最後に会員全員で岩手県オリジナル套路『岩脈(いわなみ)』を集団演武した。

 「この大会に,沿岸の被災団体である『おおふなと放松塾』と『陸前高田太極拳クラブ』のチームも練習環境が大変ななか参加してくださいました。両チームの心が一つになった丁寧な演武から,震災の犠牲になってこの場に立てなかった方々への思いや,困難に立ち向かっていく静かな覚悟のようなものが伝わってきて,会場全体が吸い込まれるような感動に包まれ,演武の後は大喝采となり,その場にいた誰もが太極拳をやっていてよかったと思える瞬間でした。


陸前高田太極拳クラブ
「一本松」チームの演武

閉会にあたり,陸前高田太極拳クラブ前会長の亀ケ川武彦さん,現会長の金澤一郎さん,おおふなと放松塾会長の浅水美智枝さんが登壇され,3人の代表として,現在香川県に避難されている亀ケ川さんが挨拶され,言葉にならないような悲惨な状況の中,県内はもとより全国各地の武術太極拳関係者から寄せられた多くの温かい支援に対して心からの感謝の言葉がのべられました。

岩手県にとって今回の記念大会は,武術太極拳で結ばれた強い絆を会員皆で再確認し,新たなる飛躍への勇気をもらう特別な大会となりました」

(岩手県連盟事務局長・高橋喜子)

【全日本選手権選抜部門】
個人選抜の部 総合太極拳AB(男子)①八重樫弘,(女子)①村井裕里子,
総合太極拳C(男子)①森公崇,(女子)①田屋美春,
24式太極拳A(男子)①金子芳久,(女子)①岡村勝子,
24式太極拳B(男子)①柏﨑正一,(女子)①山田泰子,
24式太極拳C(男子)①関沢風汰,(女子)①齋藤明希②遠山良子③栃内涼花,
太極剣・刀(男子)①関沢風汰,(女子)①村井裕里子②齋藤明希,
48式・88式太極拳(男子)①小笠原勇次郎,(女子)①菅原典子,
楊式太極拳(男子)①金子芳久,(女子)①福島純子,
陳式太極拳(男子)①両川寛,(女子)①今関由紀子,
呉式太極拳(女子)①小原のり子,
孫式太極拳(男子)①今関英夫,(女子)①今関由紀子,
団体選抜の部 集団①ハニーフラッシュ(岩手県太極拳協会),
太極拳推手規定套路①千葉真喜子・福島純子(同)

「ねんりんピック宮城・仙台2012」めざして
リハーサル大会に400人以上が参加

2012年の第25回全国健康福祉祭・ねんりんピック太極拳交流大会は「ねんりんピック宮城・仙台2012」として来年10月14日,宮城県仙台市での開催が決定している。

太極拳大会リハーサル大会が10月30日(日),本大会会場の仙台市新田東総合運動場宮城野体育館で開催され,44チーム・283人の選手と120人のスタッフが参加した。

リハーサル大会は気仙沼武術太極拳協会会員の「・・大震災の被害で茫然とするばかり・・日本中の太極拳愛好者の温かく力強い支援に感謝して,元気いっぱい演じます」という選手宣誓に始まり,211人による集団演武の交歓会で終わった。

「久しく避難所になっていた大会予定会場が,10月からの使用可能となるのでリハーサル大会を予定通りしたい」と仙台市から打診されたのが8月17日。急な呼びかけで練習不足の状態でも参加しやすいようにと,点数は模擬点数にした。そのためか,これまで選考会に出なかった人たちも多数参加し,和やかな実りあるリハーサル大会になった。


「ねんりんピック宮城・仙台2012」
リハーサル大会の模様

今年のねんりんピック熊本大会に見習い,脚や下勢独立の時はお互いに声援を送り合いました。アトラクションでは,宮城の仲間の演武を披露し,特別演武では太極拳の達人に演武していただいた。その素晴らしい演技を目の前で直に見ることができ,会場中に高揚感が漂った。ねんりんピックという全国規模の大会を開催する醍醐味を味わい,満足して会場を去る選手を,スタッフが拍手で見送りました。

宮城の太極拳仲間全員が関わって,本大会を成功させるよう頑張ります。それが私たちのできる,全国の太極拳愛好者の大震災の多大な励しに対する御礼です。

(千葉英子・ねんりんピック実行委員事務局次長)

「がんばろう福島」の思いこめ 福島市で
スポーツフェスタ 愛好者221人が参加

毎年,福島県内の市町村を巡回して開催される秋恒例のスポーツフェスタ。今年は東日本大震災による被害と,津波・原発事故による避難などの問題で開催が危ぶまれていたなか,9月25日,福島市で「ふくしまスポーツフェスタ2011」として開催された。

大震災により故郷を離れざるを得なくなった方,身近な人を亡くされた方,家族が離れ離れになって暮らさざるを得なくなった方々,自宅に被害を受けた方,いろいろな困難を乗り越え,これから先もまだまだ安心できない状況での開催であり,「がんばろうふくしま」の思いが込められた開催でもあった。

避難された方や被災されたため参加できない方々も大勢あり,参加者がどのくらいになるか心配したが,それでも221人もの参加者があり,太極拳を通して健康のためと人と人との交流の場として楽しみながら長く続けていけるよう願いをこめて行った。

参加者たちはそれぞれ精いっぱい楽しみながら演武を披露した。

午前は太極拳のいろいろな種目の紹介を,午後からは福島県連盟の指導者による10種目の体験学習を行った。

(安田操子・福島県連盟スポーツフェスタ事業部長)


「ふくしまスポーツフェスタ2011」の模様