公益社団法人日本武術太極拳連盟

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武術太極拳とは
解説:「規定難度套路」とは

【掲載:2015年】

1.「規定難度套路」策定の趣旨: 1)「自選難度競技」:
 国際武術連盟(IWUF)は、武術太極拳が近い将来オリンピックの正式競技種目となることを目指して、2003年に国際競技ルールを改正し、2005年から同ルールを国際競技大会に導入しました。以来、この新ルールによる「自選難度競技」が、ジュニア大会を除く国際大会で実施されています。この競技は、種目ごとに定められている難度動作(A級難度動作、B級難度動作、連接難度動作など)のなかから、選手が自分で選択した難度動作と一般動作を組み合わせ、動作の順序は自分で決めて行なうもので、「自選套路」と言われるものです。この套路では、難度動作が多く含まれるので、選手の安全を考慮して、日本連盟選手強化委員会が指定する選手に限って、この種目で全日本競技大会、全日本選手権大会に出場できることになっています。現在のところ、限られた人数の選手だけが参加しています(第32回全日本選手権大会では、出場選手は、男子18人、女子16人、計34人)。

2)「規定難度套路」:
 「普及用長拳」、「ジュニア太極拳」などの套路が普及して、ジュニア選手の数は年々増加しています。しかし、これらのジュニア選手の普及用套路は、「自選難度套路」とは、技術的にも、要求される身体能力にも大きな格差があります。ジュニア選手に、過度な負荷がかかる自選難度套路を行わせることはできません。日本連盟選手強化委員会は、このような技術的な格差を埋めて、ジュニア選手が難度動作を、段階的に、安全に習得し、将来自選難度競技を行なうための基礎を作ることができるように、太極拳、南拳、長拳の3種類の「規定難度套路」を策定しました。

3)この3種類の「規定難度套路」を普及するために、2007年第24回全本選手権大会が終了した翌日の7月16日に、日本連盟・本部研修センターで、「規定難度套路 コーチ・選手講習会」と「審判員研修会」を開催しました。そして、2008年第25回全日本選手権大会からこの「規定難度套路」の競技を実施しています。
 ジュニア選手が、安全に、段階的に難度動作を習得するための「規定難度套路」を独自に策定したのは、世界でも日本が初めてのことです。ジュニア選手の将来の成長が期待されるものです。

2.採点法=A、B、C組の審判組で実施する:  自選難度競技と同様に、A組審判員3人が「動作規格とその他のミス」にたいして5点の配点から、減点法により採点します。
 B組審判員3人と審判長の計4人は、演武の「勁力、協調、精神、速度、風格」にたいして3点の配点から、採点を行います。
 規定難度套路は、太極拳、南拳、長拳の種目ごとに難度動作が設けられていて、定められた演技動作の順番=套路の通りに演技を行います。C組審判員3人は、種目ごとに決められた難度動作が基準通りに行われたかどうかを判定し、3人のうち2人以上が、難度動作が成功したと判定すれば、選手はその難度動作に配点されている得点を得ます。2人以上の成功判定が得られなければ、その動作の得点は得らず、配点2点から減点されます。

● 太極拳=4つの難度動作が設けられている。
1.騰空飛脚(0.20点)、2.騰空擺蓮(0.20点)、3.前挙腿低勢平衡(0.20点)、
4.後挿腿低勢平衡(0.30点)、5.基礎点1.10点で、難度動作合計点=2.0点

例:1番目と4番目が成功し、2番目と3番目が失敗すると、その選手の難度得点の合計は、0.5点(難度成功点)+1.1点(基礎点)で1.6点。8点配点部分が7.20点であれば難度点1.60点と合わせて8.80点が最終得点となる。難度動作が全て成功すれば、解説:「規定難度套路」とは7.20点+2.0点=9.20点が最終得点となる。


● 南拳=4つの難度動作と、3つの連接動作(歩型)が設けられている。
1.擺蓮360度(0.20点)、2.連接動作(馬歩)(0.10点)、3.旋風脚360度(0.20点)、
4.連接動作(蝶歩)(0.10)、5.騰空飛脚(0.20点)、6.連接動作(提膝独立)(0.10点)、
7.騰空盤腿(0.20点)、8.基礎点(0.90点)で、難度動作合計点=2.0点

例:1番目〜5番目が成功し、6番目〜7番目が失敗すると、その選手の難度得点は、0.80点+0.90点(基礎点)で1.70点となる。8点配点部分が7.20だった場合、その選手の最終得点は8.90点となる。難度動作、連接難度動作が全て成功すれば、最終得点は2.0+7.20=9.20点となる。


● 長拳=6つの難度動作と、3つの連接動作(歩型や助走など)が設けられている。
1.擺蓮360度(0.20点)、2.連接動作(馬歩)(0.10点)、3.騰空飛脚(0.20点)、4.連接動作(助走)(0.15点)、5.側空翻(0.20点)、6.旋風脚360度(0.20点)、7.連接動作(馬歩)(0.10点)、8.旋風脚360度(0.20点)、9.旋子(0.20点)、10.基礎点(0.45点)、難度動作合計点=2.0点

例:1番目〜5番目が成功し、6番目〜9番目がすべて失敗すると、その選手の難度得点は、0.85+0.45=1.30点となる。8点配点部分が7.20点、難度得点が1.30点であれば、その選手の最終得点は8.50点となる。難度動作、連接難度動作が全て成功すれば、最終得点は7.20+2.0=9.20点となる。



3.「規定難度套路」の動作数と参加基準:  これらの套路は、一定の基礎技術を備え、競技大会に出場した経験のあるジュニア選手が訓練を始めるべきであるので、原則として下記のような参加基準が設けられています。

① 太極拳:
 套路の動作名称数は23動作。国際競技ルールのA級難度動作およびB級難度動作が含まれる。
ジュニア選手で、この套路の訓練に参加することができる基準は次の通り。
 <「42式総合太極拳」、「24式太極拳」または「ジュニア太極拳1または2」で、全国大会または都道府県大会に出場したことがある選手>

② 南 拳:
 套路の動作名称数は45動作。国際競技ルールのA級難度動作が含まれる。
 ジュニア選手で、この套路の訓練に参加することができる基準は次の通り。
 <「南拳国際規定套路」またはアジアジュニア種目「初級南拳」で、全国大会または都道府県大会に出場したことがある選手>

③ 長 拳:
 套路の動作名称数は44動作。国際競技ルールのA級難度動作およびB級連接動作が含まれる。
 ジュニア選手で、この套路の訓練に参加することができる基準は次の通り。
 <「長拳国際第2規定套路(長拳A)」、「長拳国際第1規定套路(長拳B)」または、アジアジュニア種目「少年長拳」で、全国大会または都道府県大会に出場したことがある選手>


4.「規定難度套路DVD」:  選手強化委員会製作の上記規定難度套路のDVDは、都道府県連盟を通じて購入することができます。また、日本連盟ホームページ(http://www.jwtf.or.jp/)の「動画コーナー」から、これらの套路を自由にダウンロードすることができます。

5.規定難度套路の動作名称:
■太極拳
1.起 勢、2.白鶴亮翅、3.摟膝拗歩、4.攬雀尾、5.単 鞭、6.肘底捶、
7.騰空飛脚(両足着地)(A級難度動作)、8.左提膝独立(斜方向)、
9.搬攔捶(孫式・并歩)、10.雲 手(二回)、11.野馬分鬃 (開立歩架推)、
12.騰空擺蓮(原地・180度・両足着地) (開立歩右穿掌)(A´級難度動作)、
13.掩手肱捶、14.跟歩双推掌、15.白蛇吐信、16.右拍脚、
17.前挙腿低勢平衡(A級難度動作)、
18.左提膝、19.左下勢、20.上歩七星、21.倒巻肱(二回)、
22.后挿腿低勢平衡(B級難度動作) 又は 扣腿平衡、 23.収 勢

■南 拳
 
第一段
1. 予備式、2. 開歩十字虎爪、3. 半馬歩双劈拳(発声 嗨 hai)、4. 拖歩穿掌、
5. 高虚歩 鶴頂手、6. 馬歩 挿掌、7. 馬歩冲拳、8. 騎龍歩架推掌、
9. 開歩虎爪(発声 唔 wu)、10. 騰空外擺蓮360°接 馬歩劈橋(A級難度動作)、
11. 并歩推単指手、12. 上歩(四歩)旋風脚360°接 単蝶歩冲拳(A級難度動作)、
13. 弓歩挂蓋拳、14. 拖歩抛撞拳、15. 単蝶歩圧橋、16. 独立歩双虎爪、
17. 騎龍歩挂蓋拳、18. 単蝶歩双虎爪、

第二段
19. 横釘腿開歩冲拳、20. 開歩推掌、
21. 上歩(2歩)騰空飛脚 接 独立歩(A級難度動作)、
22. 左横裆歩抛拳、23. 麒麟歩開歩双推掌(発声 嗨 hai)、24. 馬歩抄拳、
25. 馬歩双虎爪、 26. 貫拳転身跳歩、27. 単蝶歩拍地、28. 馬歩挿掌(発声 嗨 hai)

第三段
29. 弓歩冲拳、30. 虚歩劈拳、31. 上歩冲拳、
32. 上歩(四歩)騰空盤腿360°側仆 (A級難度動作)、33. 鯉魚打挺、
34. 弓歩挂蓋拳、35. 弓歩滾橋、

第四段
36. 騎龍歩勒手、37. 弓歩挂蓋拳、38. 退歩抛拳単蝶歩虎爪、39. 拖歩横弾拳、
40. 后擺腿、41. 抢背、42. 半馬歩双砸拳(発声 嗨 hai)、
43. 半馬歩双虎爪(発声 唔 wu)、44. 開歩十字虎爪、45. 収 勢


■長 拳
第一段
1.予備式、2.開歩十字推掌、3.震脚砸拳、4.外擺腿、5.烏龍盤打、6.震脚砸拳、
7.開歩挿掌、8.騰空外擺蓮360°(4歩以内)接 馬歩推掌、9.上歩単拍脚、
10.搶臂弓歩撩掌、11.並歩推掌、12.騰空飛脚360°(4歩以内)接 側空翻、
13.旋風脚360°(4歩以内)接 馬歩十字掌、

第二段
14.上歩単拍脚 側踹腿、15.震脚砸拳、16.上歩単拍脚、17.大躍歩拍地、
18.上跳提膝推掌、19.旋風脚(4歩以内)接併歩拍地、20.上歩単拍脚、
21.震脚砸拳、22.墊歩弓歩三衝拳、23.回身正踢腿、24.燕式平衡

第三段
25.墊歩提膝穿掌、26.上歩単拍脚、27.騰空転身背腿跳、28.併歩拍地、
29.震脚砸拳、30.上歩里合腿劈叉、31.併歩拍地、32.上歩単腿推掌、
33.扣腿挿掌、34.回身弓歩頂肘、35.後掃腿、36.僕歩盤肘、
37.翻身挿歩推掌

第四段
38.上歩転身鉤拳、39.墊歩旋子、40.上歩単拍脚、41.震脚砸拳、
42.虚歩擺掌、43.墊歩開歩十字推掌、44.収勢



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