「2012年全日本武術太極拳競技会」本部研修センターで最精鋭選手30人が出場

中国武術代表団が世界トップレベルの演武を披露

【掲載:2012年05月15日】

公益社団法人日本武術太極拳連盟は4月29~30日の2日間,東京都江戸川区の日本連盟・本部研修センターで「2012年全日本武術太極拳競技会」を実施した。競技会には強化指定選手で,日本連盟選手強化委員会が指名した選手30人(男子22人,女子8人)が,新国際競技ルールに基づく「自選難度競技」8競技種目に出場して,トップレベルの試合を展開した。

本競技会は,選手の競技力向上と若手選手層の発掘・養成および自選難度種目の審判技術の向上を目的に行われたもので,強化事業の成果を高めるためにも,今年も競技会と春季選手強化合宿(5月1~5日)を連結して実施した。



特設コート正面に審判席と観客席が設けられ、観客は至近距離で観戦することができ


競技会会場の日本連盟・本部研修センター外観

 

特設観客席で臨場感あふれる会場

大会1日目は開会式に続いて,自選難度競技・男子長拳短器械種目からスタートした。太極剣,南刀,南棍,長拳長器械(棍術,槍術)と男女の器械種目が実施された。

競技終了後には,日本連盟が招請した「中国武術代表団(コーチ4人・選手4人)」の4人の選手による特別演武が行われた。4選手はいずれも長拳,南拳,太極拳の世界選手権チャンピオン,または全中国武術大会チャンピオンクラスのトップ選手であり,1日目は日本選手の競技種目に合わせて刀術,南刀,太極剣などの器械種目を,2日目はやはり競技種目に合わせて徒手種目(長拳・南拳・太極拳)を披露した。

会場の本部研修センター2階の難度競技用の特設コート(常設)前には,観客席が設置され,あらかじめ都道府県連盟と選手強化委員会に割り当てられた入場券で来場した観客300人が,目の前で繰り広げられるトップレベルの演技を堪能し,大きな声援と拍手を送った。コートと客席は審判員席とカーテンで仕切られているだけ。至近距離で見る選手たちの迫力と高い競技レベルに観客は十分満足した様子だった。

また,普段見る機会の少ない,中国トップ選手の際立った演武に魅了された観客からは大歓声と惜しみない拍手が沸き起こった。

2日目の競技と中国選手特別演武終了後に,表彰式が行われ,各種目上位3位までの入賞者を代表して,宮岡愛選手(女子太極剣1位・女子太極拳1位)と市来崎大祐選手(男子長拳短器械1位・男子長拳1位)が日本連盟役員からメダルと賞状を受け取った。

閉会式では村岡久平日本連盟副会長・専務理事が「年ごとに本大会自選難度競技に出場する選手のレベルが向上していることを実感する。8月にはベトナムで第8回アジア選手権,9月には中国・マカオで第4回世界ジュニア選手権,そして最近,正式に決定されたことだが,再来年2014年に中国・南京市で開かれる『第2回ユース・オリンピック』で武術トーナメントが挙行されるなど,国際大会が続々と実施されるが,皆さん,さらなる高峰をめざして頑張りましょう」と挨拶して,大会を締めくくった。



ハイレベルの熱戦に見入る全国からの観客300人

今回から「審判採点システム」完全版を導入

自選難度競技の採点はA組(動作の質)・B組(演技レベル)・C組(難度動作)に分かれ,各組3人,計9人の審判員と審判長の計10人で行われる。昨年の本大会からA組審判の採点システムがコンピューター化されていたが,今回からさらにB組・C組審判の採点をコンピューター化した「審判採点システム」完全版が導入された。

競技会前日の4月28日,コンピューターシステム導入に対応するための審判研修が丸一日行われた。

このシステムの導入により,選手1人当たりの採点時間は大幅に短縮されることになり,6月の第29回全日本選手権大会とそれ以降の大会にも難度動作のある競技について「審判採点システム」を導入していく。


市来崎大祐選手
(男子長拳1位・長拳短器械1位)

中田光紀選手
(男子南拳1位・南刀1位・南棍1位)

宮岡愛選手
(女子太極拳1位・太極剣1位)

柏熊結姫選手
(女子長拳短器械1位・長拳長器械1位)

藤永和樹選手
(男子長拳長器械1位)

関谷賢大選手
(男子太極拳1位・太極剣1位)

山口啓子選手
(女子長拳1位)

阪みさき選手
(女子南拳1位・南刀1位)

大会審判団の紹介

 

中国武術代表団コーチ:

①厳平(北京武術隊ヘッドコーチ 男)

②李強(福建省武術隊高級コーチ 男)

③魏丹(福建省武術隊高級コーチ 女)

④李英奎(北京体育大学副教授 男)

選手:

⑤王曦(北京武術隊選手 全国武術大会 男子長拳第1位・男子棍術第1位)

⑥黄穎祺(福建省武術隊選手 全国武術チャンピオン大会 男子太極拳・太極剣第1位)

⑦林凡(福建省武術隊選手 第五回世界運動会武術競技 女子南拳・南刀総合第1位)

⑧崔文娟(広東省武術隊選手 全国運動会 女子太極拳・太極剣総合第1位)

中国コーチ・選手は,競技会終了翌日の5月1日から5月5日まで,同センターで行われた春季国内強化合宿に,競技会出場選手,ジュニア選手,コーチ団とともに参加して合同強化訓練を行い,5月7日に帰国した。

 

トップレベルの技の数々


中国武術代表団のコーチ・選手一行8人

王曦選手(長拳)

林凡選手(南拳)

黄穎祺選手(太極拳)

崔文娟選手(太極拳)

競技会に出場した選手たちと中国武術代表団,日本連盟コーチ,関係者ら

閉会式で挨拶する村岡久平副会長