概況

(一)公益社団法人日本武術太極拳連盟は、日本における武術太極拳活動の統轄団体として、内閣府より公益法人としての認可のもと、武術太極拳を生涯スポーツとして、また競技スポーツとして普及振興を進める事業活動を行っている。
現在、日本における太極拳愛好者人口約150万人、うち女性7割、男性3割、競技者人口は全都道府県合わせて約70,000人(2014年4月現在)。

(二)全国47都道府県すべてに武術太極拳活動の統轄団体として都道府県連盟が発足し、ほぼ全ての都道府県連盟が各都道府県体育協会に加盟している。各県連盟主催により武術太極拳交流大会、県選手権大会、講習会等が活発に行われている。各都道府県主催による各県版「ねんりんピック」、および県民体育大会でも武術太極拳大会が県連盟主管により正式競技として盛んに行われている。
各県連盟は、日本連盟と提携して武術太極拳の普及振興に努め、国民の健康増進に寄与している。

(三)文部科学省等の主催による「全国スポーツ・レクリエーション祭」(全国スポレク祭)には、1994年の北九州大会に協賛事業として初参加した。以来、全国スポレク祭に毎年参加し太極拳大会を開催してきた。2011年の第24回(栃木県)でスポレク祭は終了した。
厚生労働省等の主催の「全国健康福祉祭ねんりんピック」(ねんりんピック)では、1993年の京都大会から太極拳が正式種目として実施されている。
以後、太極拳交流大会が毎年盛大に行われている。2002年に開催地となった福島県喜多方市は「太極拳のまち」づくりを宣言している。

(四)日本連盟創立10周年の1997年、武術太極拳が初めて国民体育大会に初参画した。同年に行われた第52回国民体育大会「なみはや国体」(大阪・夏季国体)のデモスポ行事(デモンストレーションとしてのスポーツ行事)で武術太極拳を実施した。1998年10月の「第53回国民体育大会」(かながわ・ゆめ国体、秋季大会)では、総合閉会式で公開競技・スポーツ芸術として1,200人による大規模集団演武、およびジュニア選手130人によるカンフー体操集団演武が大成功のうちに行われた。
2003年の第58回静岡国体から2013年の第68回東京国体まで毎年、武術太極拳がデモスポ行事として実施されてきた。2019年茨城国体から計8回、武術太極拳は「国体公開競技」種目に格上げして実施される。国体における武術太極拳の正式実施競技化を目指した活動が進められている。

(五)日本連盟は、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)、公益財団法人日本スポーツ協会に正加盟となっている。武術太極拳は、1990年の北京アジア競技大会、1994年の広島アジア競技大会、1998年のタイ・バンコクアジア競技大会、2002年の韓国・釜山アジア競技大会、2006年のカタール・ドーハアジア競技大会、2010年の中国・広州アジア競技大会に引き続き、2014年に韓国・仁川で開催された第17回アジア競技大会、2018年にインドネシア・ジャカルタで開催された第18回アジア競技大会でも正式競技として行われた。
東アジア競技大会では、武術太極拳は第1回大会(1993年、中国・上海市)、第2回大会(1997年、韓国・釜山市)、第3回大会(2001年、日本・大阪)、第4回大会(2005年、中国・マカオ)、第5回大会(2009年、中国・香港)、第6回大会(2013年、中国・天津)で正式競技として行われた。
アジア競技大会、東アジア競技大会の正式競技として武術太極拳はすでに定着している。

(六)2008年北京オリンピックの開催期間中に、北京市において「2008年北京オリンピック武術トーナメント」が「カルチュラルイベント」として実施された。また、2014年の南京ユースオリンピックでもカルチュラルイベントとして「南京2014ユース武術トーナメント」が実施された。2017年8月には台湾・台北で開催された大学生のオリンピックとも呼ばれる「第29回ユニバーシアード競技大会」にも初採用され、2026年には「夏季ユース五輪ダカール大会」の新競技としても追加されることが決定している。