ジュニア普及の視点◇ねんりんピックに向けて小学校5・6年生に集団演武を指導<長崎県>

本企画は,各地で武術太極拳普及に尽力され,活躍されている日本連盟指導員のみなさんに,活動の様子をインタビュー形式で質問をし,その回答を掲載する。

今回は,今年の「ねんりんピック長崎2016」の太極拳交流大会会場で「おもてなしアトラクション」として披露する予定の,小学生による集団演武を指導する帖佐幸子さん(長崎県佐世保市在住)に取材した。

◇シニアの大会である「ねんりんピック長崎2016」に,小学生の集団演武を組み込もうと思ったきっかけは何でしょうか?

「これまでのねんりんピックのアトラクションで子供たちの演武を見て,長崎でもぜひ行いたいと思っていました。きっかけは学校関係にかかわりのある方へ相談したところ,会場近くの小学校の校長先生を紹介していただき,快く承知していただきました」

◇学校側には,どのようにして了承していただけたのでしょうか?

「47年に一度という『ねんりんピック』の長崎県大会が佐世保の体育文化館で行われ,それのアトラクションに参加できることの素晴らしさを先生方に理解していただけたということです」

◇演武内容について,企画段階と実際の練習段階で苦労されたことなどはありますか?

「企画段階では,普及用長拳の套路である『カンフー体操1と2』に少し違う動作を入れ,音楽に合うよう動作を付け加えてみました。しかし,練習段階で,最初に子供たちの前で音楽に合わせ演武したところ,難しそうとのお声があり,先生方もできるのだろうかと不安顔でした」

◇実際に生徒たちに教え始めたときの問題点や,生徒たち自身の反応はどうでしたか?

「授業の時間帯の一部を4日間(4時間)いただき,基本から指導をいたしましたが,私自身子供に教える経験が浅いため計画通りの練習ができず,4回で本当にみなさんに満足してもらえる集団演武の形ができるのか不安になりました。それでも,回数を重ねるたびに上達し,笑顔もたくさんで,家でも練習しているといった嬉しい声も聞けるようになってきました」



5月31日に行われた運動会で「カンフー体操」を披露

◇練習をしている中で,戸惑いや喜びなどがあったと思いますが……

「1回目の練習で子供たちがどう動いていいのかわからず,何回も繰り返し練習したため,『きつい,疲れた,まだするの?』などの言葉がちらほら出て,私も楽しませようと頑張りましたが,なかなか子供達にはその思いは届かない感じでした。でも3回目くらいから真剣に取り組んでくれるようになり,上達も速く,リハーサル大会での演武も素晴らしいものになり,子供はすごいなと感激しました」

◇今回の集団演武について,学校の先生方や生徒のご家族からの反応や感想は,いかがですか?

「学校からは,『子供たちに参加の強制はできないが,体育館いっぱいに子供たちのカンフー体操が見られると良いですね!当初は6年生だけの参加予定でしたが,せっかくなので5年生も参加してもらいましょう』と言っていただき,とても協力的で助かっています。参加する子供の祖母の方が太極拳を習われていて,『カンフー体操を孫に教わっています』とか『孫から,カンフー体操するから見てて』などと,楽しそうに話される姿を見て,今回の集団演武の企画をやってよかったと実感しています」

◇生徒たちの「武術太極拳」に対する興味度について,どのように感じますか?

「正直に言えば,太極拳って?何?という感じでした。それでも,カンフー体操は楽しいです!と言う子もいます」

◇(ねんりんピックはもちろんのこと)今後の地域でのジュニア普及活動に関して,抱負や目標などがありましたら教えてください。

「こちらでは,なかなかジュニアの普及がうまく進んでおらず,これからの目標でもあります。2019年国体公開競技にむけ,少しでもジュニア選手が増えるよう頑張っていこうと思います!」



指導に当たる長崎県武術太極拳連盟の
(左から)山口珠美さん,帖佐幸子さん,
島村節子さん,林和代さん