「2011年全日本武術太極拳競技会」4月29・30日本部研修センターで開催

4月29・30日 東京・本部研修センターで開催

最精鋭選手24人が出場 中国武術代表団が世界トップレベルの演武を披露

【掲載:2011年05月15日】

日本連盟は4月29~30日の2日間,東京都江戸川区の日本連盟本部研修センターで「2011年全日本武術太極拳競技会」を開催した。競技会には選手強化委員会が指名した24人の選手が出場し,国際競技ルールによる「自選難度競技」が行われた。日本のトップレベルの選手たちによるトップレベルの大会であり,選手の競技力向上と若手選手層の発掘・養成および,自選難度種目の審判技術の向上をはかることを目的とするもの。

昨年の第1回競技会と同様,強化事業の成果を高めるために今年も競技会と強化合宿を連結して実施した。

■観客席を特設,臨場感あふれる会場

会場に設置された観客席にはあらかじめ都道府県連盟と選手強化委員会に割り当てられた枚数の入場券で来場した観客300人が,目の前で繰り広げられるトップレベルの迫力ある演武を十分に堪能した。

競技第1日目は午前10時15分からの開会式に続いて,10時30分から自選難度競技,男子・短器械種目からスタートした。観客からの大声援を受けて,選手たちは白熱した演武を繰り広げた。人数が限定された観客席だからこその至近距離での高い競技レベルの観戦に観客も十分に満足した競技会となった。

特設コートの正面に審判団と審判採点システム,観客席が設置され,300人の観衆が至近距離で観
戦した

競技会会場の日本連盟本部研修センター外観

■中国武術団の演武 観衆を魅了

競技会1日目と2日目の2回,競技終了後に,中国武術代表団(コーチ2人・選手3人)の3人の選手による特別演武会が行われた。3人の選手はいずれも長拳,南拳,太極拳の世界選手権大会チャンピオンまたは,中国全国武術大会チャンピオンクラスのトップ選手である。

1日目は刀術,南刀,太極剣の演武,2日目は長拳,南拳,太極拳の演武を行った。至近距離で見る世界トップクラスの演武に観客はおおいに魅了され,演武終了後には大歓声と惜しみない拍手が送られた。

中国選手の演武を観戦。世界トップレベルの一挙一動に見入る観衆

2日目の競技と中国選手特別演武終了後に表彰式が行われ,各種目の上位3人までの入賞者を代表して,宮岡愛選手(女子太極剣1位・女子太極拳1位)と市来崎大祐選手(男子長拳1位・男子長拳短器械1位)が日本連盟役員からメダルと賞状を受け取った。


女子太極拳1位・女子太極剣1位の宮岡愛選手

男子長拳1位・男子長拳短器械1位の市来崎大祐選手

来日した中国武術代表団。右から厳平コーチ,王曦,陳洲理,鄭磊石の各選手

王曦選手の長拳演武


鄭磊石選手の南拳演武

陳洲理選手の太極剣演武

中国武術コーチ・選手代表団

中国コーチ:
① 厳 平 (北京武術隊ヘッドコーチ)
② 李 強 (福建省武術隊高級コーチ)

中国選手:
① 王 曦 (北京武術隊選手・長拳全国武術大会男子長拳第1位)
② 陳洲理 (福建省武術隊選手・太極拳全国太極拳大会 男子武式太極拳第1位)
③ 鄭磊石 (福建省武術隊選手・南拳第8回世界武術選手権大会 南拳第1位)

中国コーチと選手は競技会終了後の5月1日から5日まで,同センターで行われた春季国内強化合宿に前日まで競技会に出場した日本選手24人と,ジュニア太極拳選手11人らとともに参加して,合同強化訓練を行った。

今回,中国コーチと選手の来日にあたっては,大震災による福島原発事故の影響で来日できるか心配されたが,代表団の日本に対する理解,長年にわたる日本連盟との交流の実績から,来日が実現した。

厳平コーチは「私は日本の状況がよくわかっています。日本の選手・コーチはじめ連盟関係者と情報交換・最新技術の交流をはかることは大変重要です。武術太極拳の将来を見据えて,中国と日本は助けあい,協力しあわなければなりません」と話した。


日本・中国の選手たちが勢ぞろい
会場には「東北地方太平洋沖地震義援募金箱」
が置かれ、大勢の来場者が協力してくれた

■今回から新審判採点システムの一部を導入

自選難度競技の審判は,A組・B組・C組に分かれ,各3人の審判が担当している。そのうち,A組審判の採点は複雑で,時間がかかっていた。昨年来,A組審判の採点システムのコンピュータ化を目指して,このほど本競技会で試験的に実施された。これまで1分半以上かかっていた採点時間が,本競技会では平均1分となり,1人の選手に対し従来より30秒以上短縮された。さらにシステムを拡充していき,今夏の全日本選手権大会以降も導入していく予定。


今年創立100年を迎える日本体育協会

・日本オリンピック委員会ののぼり。本部研修センター入口で

閉会式で挨拶する村岡久平日本連盟副会長。これに先立って表彰式が行われた