【大会報告】「第1回アジア伝統武術選手権大会」(中国・江蘇省南京市)

銀メダル1個、銅メダル1個を獲得し、全員が入賞!

中国・江蘇省南京市で11月28~30日に開催!

アジア武術連盟(WFA)主催による「第1回アジア伝統武術選手権大会」が、昨年、11月28日(水)から30日(金)まで、中国・江蘇省南京市で開催された。 この大会は、7回にわたって「世界カンフー(第6回まで伝統武術)選手権大会」が開催される中で、アジア地域の伝統武術の状況にも鑑み、伝統武術のより一層の普及と交流を目的として初めてアジアで開催された。

会場の南京農業大学体育館には、12ヵ国120数人が参加し、日本からは団長兼WFA役員として岡﨑温会長代行、李自力監督、谷川大・アジア武術連盟伝統委員会副主任、選手4人の計7人が参加した。

日本チームは,銀メダル1個、銅メダル1個を獲得し、全員が入賞した。下川美富選手は、42式太極拳で銀メダルを獲得、太極剣でも銅メダルを獲得し、健闘をみせた。

大会の成績一覧は、日本連盟ホームページに掲載している。

大会報告 谷川 大(アジア武術連盟・伝統委員会副主任)

11月28日から30日の3日間、中国江蘇省南京市において、「第1回アジア伝統武術選手権大会」が実施された。12ヵ国120数人が参加する中、日本からは岡﨑温会長代行、谷川大選手強化委員長、李自力強化コーチと4人の選手が参加した。

アジア武連主催による伝統武術大会は初めての開催である。武術太極拳がアジアにその源を持ちながら、先に他の地域での伝統武術大会が実施されてきた中で、満を持しての開催となった本大会は、他の国際大会との日程調整、開催国地の日程、開催地の変更などの諸事情により、多くの皆さんにご参加いただけなかったことが残念ではあるが、今後の伝統武術発展の活動の一つとして、定期的に開催される中で、日本からの多くの参加が望まれるところである。

開催地の南京は大会期間中濃霧に見舞われ、交通に影響が出るほどであったが、各国からの参加者は日頃の練習の成果を十分に発揮した。競技は年齢別の組分けと、種目をグループ化する中で行われ、参加者の多い種目は単独種目として独立させるという柔軟性に富んだ形で実施された。普段目にする機会のない地域・地方独自の拳種やその対練、伝統の器械、また競技武術の選手による表演とさまざまな種目が展開され、改めて伝統武術の持つ幅の広さを感じさせるものであった。同時に早い時期から普及の進んでいた東アジア、東南アジアに限らず南アジアや西アジアからの参加もあり、アジア地域での伝統武術の可能性をうかがわせるものであった。

日本選手は太極拳と伝統拳種にそれぞれ出場して全員が入賞。下川美富選手(山口県連盟)は太極拳2位、太極剣で3位と健闘した。初めての大会に参加された選手の皆さんの健闘をたたえ、感謝申し上げたい。

伝統武術の普及と発展に向けて

現在日本国内でも昨年8月大阪八尾市での国際交流大会をはじめとして、伝統武術を種目として行う大会は多数実施され、国内愛好者の多さを示している。このような流れの中で、2019年には2つの国際伝統武術大会が予定されている。6月16〜20日には国際武術連盟主催の「第8回世界カンフー選手権」が中国・四川省峨眉山で、また秋にはアジア武術連盟主催の「第2回アジア伝統武術選手権」がそれぞれ開催される。世界カンフー選手権は隔年で実施されており、海外組、中国国内組に分かれて数多くの選手が参加する大会である。19年は前回大会に引き続き、峨眉山での開催が決定している。アジア伝統武術選手権は今回第1回が開催されたが、こちらも大会中に執行委員会が開かれ、南京市において5年連続の連続開催が決定した。

武術太極拳が本来長い伝統に基づく伝統文化であるため、大会は多岐にわたる種目の参加があり、日本国内のより多くの愛好者にも参加の機会が用意されている。オリンピックを目指しての国際競技スポーツとしての側面にスポットが当たることが多いが、国際的には今後このような伝統大会にも注目が集まるものと思われる。日本国内に伝統武術を修練される方も数多くいらっしゃることからも、今後伝統武術の発展に向けた活動を展開していきたい。2つの伝統武術大会に対しては、連盟加盟の有無を問わず、愛好者に広く門戸を開放し、武術太極拳のより広い範囲での発展に寄与しようという形をとっている。

2つの大会はそれぞれ個性豊かなものであり、2019年には多くの皆さまにこの活動を知っていただき、多くのご参加をお待ちしております。 (谷川 大)

開会式にて整然と並ぶ12ヵ国の選手たち
開会式にて整然と並ぶ12ヵ国の選手たち
大会終了後、記念撮影に臨む日本代表選手団一行
大会終了後、記念撮影に臨む日本代表選手団一行
左から下川美富、酒井謙輔、落合健夫、江川杏里の各選手
左から下川美富、酒井謙輔、落合健夫、江川杏里の各選手

第1回アジア伝統武術選手権大会 日本代表選手団成績

役  職氏  名都道府県区分出場種目と成績
選 手落合 健夫東京都 沙氏通背六路 4位
酒井 謙輔長野県C 少林拳 5位・少林刀 5位
下川 美富山口県C 42式太極拳 2位・太極剣 3位
江川 杏里福岡県C 42式太極拳 7位・42式太極剣 6位
団 長岡﨑  温日本連盟会長代行
監 督李  自力選手強化委員会 強化コーチ