太極拳技能検定発足から18年。4段位・5段位の設置が決まる

【掲載:2012年02月13日】

3段位取得者が2300人超に

日本連盟の太極拳技能検定制度(「段級位制」)は1995年に発足して以来,「5級位3段位制」(5級~1級・初段~3段)に太極拳愛好者が受験し,18年の間に級位・段位に登録してきた人は延べ25万人以上にのぼる。そのなかで,2011年度検定の結果,最上位の段位である3段の取得者は2300人を超えるに至った。

太極拳技能検定は,アマチュア太極拳愛好者が,それぞれの段階で技術向上の目標に向かって練習に励み,愛好心を高める効果をもたらし,普及活動の基軸となってきた。3段取得者の累積人数が2000人を超えた現在,いよいよ4段・5段の高段位を設ける条件が醸成されてきた。

普及の裾野を広げ 向上を目指す

日本の武道(剣道,柔道,空手等)の「段位制」は,明治,大正時代に遡る歴史があるが,太極拳は都道府県連盟による組織的な普及活動が本格化する時期と前後して1995年から始まったもので,初級者─中級者─上級者を対象に検定試験と各種の講習会等を実施して「普及と向上」を推進してきた。

このなかで特筆すべきは,早くから太極拳を始めて普及活動の中心となってきたベテラン指導者も,後から始めた新人の愛好者も,検定試験では例外なく同じ条件で,公平に実技試験を受け,合否判定を受けてきたことである。ベテラン指導者の方々が謙虚に努力を重ね,率先して模範を示されたことが,後進の愛好者を牽引する力になった。各地,各団体のベテラン指導者の方々にあらためて敬意を表したい。

全国の太極拳愛好者が,級位から段位まで段階的に技能習得を積み上げてきた基礎のうえで,4段位・5段位は,太極拳上級者の愛好心をさらに高め,技能を深化させるために設けられる。そのうえで,4段位・5段位は,限られた少数の高段者養成を目的とするのではなく,全国の多くの愛好者が,先人が遺した太極拳の精華を習得し,奥義に近づくために参加することができるように,実施形態が検討されている。そのため,3段位まで実施している実技試験方式は採用せず,「4段昇段研修会」(「4段中央研修会」,「ブロック研修会」)などの研修会方式で段位が授与されることになっている。

「4段・5段昇段規定」を承認,12月から実施予定

1月21日に開催された第76回理事会に太極拳指導員委員会幹事会から「太極拳技能検定4段・5段昇段規定」(案)が提案され,審議のうえ承認された。また第46回通常総会においても同規定(案)が提案され,総会の承認を受けた。

 「同規定」(P5掲載)では,さらに詳細にわたる事項(「4段位授与規定(仮称),「5段技術教程(仮称),「ブロック研修会実施要領」,「5段位授与規定(仮称)など)は,6月に開催される第77回理事会で審議,承認を受けたうえで,今年12月から「4段中央研修会」が毎月1回,東京と大阪で実施される予定となっている。