「第12回ワールドゲームズ・成都大会」結果報告

初の正式競技で銀メダル1個・銅メダル1個を獲得!

「第12回ワールドゲームズ・成都大会」が、国際ワールドゲームズ協会(IWGA)主催、国際オリンピック委員会(IOC)の後援により、8月7日(木)~17日(日)に中国・成都市で開催されました。武術套路競技は8日(金)・9日(土)の2日間に実施されました。

日本選手団は、日本ワールドゲームズ協会(JWGA)を通じた日本スポーツ振興センターの助成(令和7年度スポーツ振興基金助成)を受けて派遣されました。大会参加にあたり多大なるご支援をいただきましたこと、ここに深く感謝申し上げます。日本からは24競技に158人がエントリーし、武術太極拳を含めた全競技のメダル獲得数において世界第7位の成績を収めました。

日本武術隊は、男女計5人の選手に加え、監督1人、審判員1人の体制で参加。見事、銀メダル1個、銅メダル1個を獲得する成果を収めました。

今大会の模様は、大会組織委員会により全世界に向けてライブ配信され、多くの方々から熱い応援をいただきました。

改めまして、ご協力・ご声援を賜りました皆さまに心より御礼申し上げます。

大会に参加した日本代表5選手と孔祥東監督

大会に参加した日本代表5選手と孔祥東監督

初めて台上に設置された競技コート

初めて台上に設置された競技コート

 

日本代表選手団 大会レポート

■目的

本大会は、国際ワールドゲームズ協会(IWGA)が主催する、非オリンピック競技(種目)を中心とした4年に1度の国際総合競技大会である。

2023年11月に開催された第16回世界武術選手権大会(アメリカ)において、各種目総合で上位6位以内に入賞した選手、およびワールドゲームズシリーズ2024香港大会の総合成績1位の選手、さらに各種目総合でIWUFが指名した2名のワイルドカード選手に出場資格が与えられた。

套路競技は8月5日~10日(競技日:8日・9日)に行われ、日本チームは5名の選手が出場し、監督1名が帯同した。

出発前には2日間の合宿を実施し、本番のスケジュールに合わせて朝と夜に全套練習を行い、最終調整を行った。

■成果

日本チームは、銀メダル1個、銅メダル1個、合計2個のメダルを獲得した。

男子南拳・南棍総合に出場した松川は、1種目目の南拳で武術競技の1種目目・出場順1番というプレッシャーの中でも堂々と安定した演技を見せ、幸先の良いスタートを切った。続く2種目目の南棍でもミスなく演技を終え、総合4位という好成績を収めた。

女子太極拳・太極剣総合に出場した齋藤は、1種目目の太極拳では揺れによる減点があり6位。2種目目の太極剣では技術力を見せ、種目1位の高得点を獲得したが、太極拳での減点が響き、総合5位に終わった。

男子太極拳・太極剣総合には荒谷と村上が出場。1種目目の太極拳では両名とも揺れによって減点され、それぞれ5位、7位スタートとなった。2種目目の太極剣では、荒谷はミスなく演じきり、種目1位の高得点を得て総合2位を獲得。村上は小さな揺れで減点され、総合6位となった。

女子長拳・剣術・槍術総合に出場した貴田は、1・2種目目の長拳・槍術で実力を発揮し、ノーミスで演技を終えてメダル圏内で3種目目の剣術を迎えた。3種目目も安定した演技を見せたが、開脚着地の規格減点があり、総合3位となった。

■課題

本大会は、アジア競技大会と同じように種目総合での試合だったため、選手にはいつも以上に大きなプレッシャーがかかった。本番コートは床から70~80cmほどの高さの仮設された台の上に設置されており、良くも悪くも特別感のある舞台であった。仮設台の上に設置されたことによるコートの感触の違い・精神面への影響に対応できず、難度動作の着地が乱れた選手がいた。

しかし、他国の選手も同じ条件であるため、どんな状況下でも安定した演武をすることが重要である。難度の方法についてより細かく意識することや、体幹の強化、精神面の強化等を続けていかなければならない。また、大会前日に設けられている本番コートでの練習の際に、より注意深くコートの感触や景色を確認する必要があると感じた。

選手たちは7月初旬のアジアカップから始まり、全日本、ワールドゲームズと約1ヶ月の間で3連戦というハードスケジュールをこなした。更に8月末から世界選手権が控えている。体調管理に気を付けながら本大会の反省を活かした調整を行い、世界選手権で遺憾なく実力を発揮することを期待する。

また、今大会も渡航費用は選手の一部自己負担による参加となり、アジアカップ出場選手が行ったクラウドファンディングの支援金を使用しての参加となった。この場を借りて、改めて深く感謝申し上げる。多くの人々の厚意に触れ、選手たちは強く励まされ、応援の力を実感しながら日々の練習に取り組むことができた。

現在、日本代表チームはアマチュアとして活動しており、真に国際舞台で戦っていくためには、周囲からの継続的な支援と理解が不可欠である。温かいご支援があり成り立っていることを忘れずに、選手一同、更なる競技力向上に努めたい。

銀メダルを獲得した荒谷友碩選手

銀メダルを獲得した荒谷友碩選手

銅メダルを獲得した貴田菜ノ花選手

銅メダルを獲得した貴田菜ノ花選手

参加国・地域別 獲得メダル数(套路)

順位 国・地域名 合計
1 中国 2     2
1 中国香港 2     2
3 マレーシア 1 1 1 3
4 イラン 1     1
5 シンガポール   1 3 4
6 日本   1 1 2
7 ウズベキスタン   1   1
7 インドネシア   1   1
7 ブルネイ   1   1
10 中華台北     1 1
11 エジプト       0
11 韓国       0
11 ベトナム       0
11 インド       0
11 フィリピン       0
11 スペイン       0
合計 6 6 6 18

第12回ワールドゲームズ・成都大会 日本代表選手団名簿と成績

種目 性別 氏名 よみがな 所属 出身 出場種目
1 太極拳 荒谷 友碩 あらや ともひろ 千葉県 千葉県 太極拳・太極剣総合2位(5位・1位)
2 村上 僚 むらかみ りょう 東京都 北海道 太極拳・太極剣総合6位(7位・6位)
3 南拳 松川 爽人 まつかわ あきと 大阪府 石川県 男子南拳・南棍総合4位(4位・3位)
4 太極拳 齋藤 志保 さいとう しほ 岩手県 岩手県 太極拳・太極剣総合5位(6位・1位)
5 長拳 貴田菜ノ花 きだ なのは 大阪府 兵庫県 長拳・剣術・槍術総合3位(3位・4位・2位)
6 監督 孔 祥東 こう しょうとう 選手強化委員会 副委員長兼ヘッドコーチ
7 審判員 竹中 保仁 たけなか やすひと 審判委員会委員長、国際審判員