「第12回アジアジュニア武術選手権大会」結果報告

金メダル2個・銀メダル5個・銅メダル4個のメダルを獲得!

アジア武術連盟(WFA)が主催し、7月23日~30日(競技は26日~29日)に「第12回アジアジュニア武術選手権大会」が中国・江陰市のペガサスウォーターアリーナで開催されました。大会には22ヵ国・地域から278人(散打を含むと24ヵ国・地域から483人)の選手・役員が集いました。

日本連盟では監督1人、コーチ2人、国際審判1人、選手9人の合計13人を派遣しました。

日本ジュニア武術隊は金メダル2個・銀メダル5個・銅メダル4個の合計11個のメダルを獲得し、素晴らしい成果となりました。

本事業は、(公財)日本オリンピック委員会(JOC)の選手強化NF事業助成を受けて実施されました。

詳細な成績の一覧はこちらに掲載します。

日本代表選手団一行

日本代表選手団一行

代表団は直前合宿を行い、最終調整

代表団は直前合宿を行い、最終調整

 

監督・コーチレポート

2025年7月26日から29日にかけて、中国・江蘇省・江陰市のペガサスウォーターアリーナでアジア武術連盟(WFA)主催による『第12回アジアジュニア武術選手権大会』が開催された。本大会の日本代表選手団は監督1名、コーチ2名、国際審判1名、A組男女計5名、B組男女各1名、C組男女各1名計13名で構成された。事前合宿と現地での調整を経て、強固な結束を築いた日本代表ジュニア選手団は、強豪国を相手に金メダル2個・銀メダル5個・銅メダル4個を獲得する素晴らしい成果を収めた。

目的

大会は、これまでの練習の成果を発揮し、国際舞台で好成績を収めることを最大の目的とした。長時間の移動や慣れない環境での生活による疲労が懸念され、事前合宿と現地での調整練習に注力し、選手たちの心身の状態を万全に整えることに努めた。また、大会期間中もチームとしての結束をさらに強め、互いを支え合うことで、一人ひとりのパフォーマンスを最大限に引き出すことを目指した。

成果

日本代表選手団は、想定を上回る多くのメダルを獲得した。この好成績は、単に個々の技術力だけでなく、チーム一丸となった協力体制が生み出したものだ。特筆すべきは、1種目目でミスがあった選手が、その後見事に立て直し、メダルを獲得したケースが多数あったことだ。これは、選手個人の精神的な強さと、それを支えたチームの結束力があったからこそ実現できた成果である。出場のない選手が積極的に仲間の応援に向かったり、複数の出場が重なった際にはコーチの指示を待たず、選手たち自身が自律的にサポートし合うなど、強固なチームワークが随所にみられた。こうした結束力が、選手たちの潜在能力を引き出し、最高のパフォーマンス発揮につながった。

課題

今回の成功は大きいが、次のステップに進むための課題も残っている。日本国内でトップレベルの選手であっても、国際舞台では実力が十分に評価されないケースが見受けられた。これは、上位各国の選手に比べ、一つひとつの動作の意識の強さ、リズムへの意識、そしてフィジカル面で劣っていることが大きな原因である。

かねてから、日本人選手の持つ動作の美しさや丁寧さは高く評価されている。この長所はそのままに、今後は「強さ」に対する指導を強化していく必要がある。世界トップレベルに肩を並べるためには、高度な技術や表現力に加え、土台となるフィジカルの強化と、それに伴う力強い演武を追求していくことが急務である。また、今回の台風による帰国トラブルは、国際大会における予期せぬ事態への対応力の重要性を示唆した。今後は、選手・コーチ・スタッフを含めたチーム全体で、あらゆる状況を想定した危機管理体制を強化していくことが求められる。

左上から、(上段)大木宙、大槻紅白、川村心輝、清水恵理、谷藤蒼矢、(下段)今井友里乃、渋谷天獅、安藤かなえ、下起拓郎の各選手

左上から、(上段)大木宙、大槻紅白、川村心輝、清水恵理、谷藤蒼矢、(下段)今井友里乃、渋谷天獅、安藤かなえ、下起拓郎の各選手

選手強化NF事業助成を受け派遣

選手強化NF事業助成を受け派遣

随所にカンフー要素を取り入れた豪華な会場

随所にカンフー要素を取り入れた豪華な会場

国際審判員を務めた王輝審判員(左から4番目)

国際審判員を務めた王輝審判員(左から4番目)

メダルを手に笑顔をみせる選手たち

メダルを手に笑顔をみせる選手たち

参加国・地域別 獲得メダル数(套路)

順位 国・地域名 合計
1 中国香港 13 3 4 20
2 インドネシア 12 6 7 25
3 中国 11     11
4 中国マカオ 6 9 6 21
5 シンガポール 5 10 11 26
6 マレーシア 4 6 6 16
7 中華台北 3 6   9
8 イラン 2 5 6 13
9 日本 2 5 4 11
10 ベトナム 2 3 6 11
11 ブルネイ 2 3 1 6
12 韓国 1 2 4 7
13 カザフスタン 1 1 3 5
14 アフガニスタン 1 1   2
15 インド   3   3
16 ウズベキスタン     1 1
16 フィリピン     1 1
17 トルクメニスタン        
17 ヨルダン        
17 レバノン        
合計 65 63 60 188

「第12回アジアジュニア武術選手権大会」日本代表選手団名簿と成績

  年齢区分 性別 種目 氏名 ふりがな 所属連盟 出場種目と成績
1 A組 太極拳 川村 心輝 かわむら しき 岩手県 太極拳3位、太極扇9位
2 長 拳 大木 宙 おおき そら 埼玉県 長拳1位、刀術5位、棍術8位
3 南 拳 谷藤 蒼矢 たにふじ そうや 北海道 南拳8位、南刀4位、南棍10位
4 長 拳 大槻 紅白 おおつき こはく 群馬県 長拳5位、刀術3位、棍術2位
5 長 拳 清水 恵理 しみず えり 埼玉県 長拳4位、剣術4位、槍術3位
6 B組 長 拳 渋谷 天獅 しぶや てんし 岐阜県 長拳3位、刀術5位、棍術5位
7 長 拳 今井友里乃 いまい ゆりの 兵庫県 長拳2位、剣術2位、槍術2位
8 C組 長 拳 下起 拓郎 したおこし たくろう 愛知県 長拳6位、刀術5位、棍術4位
9 長 拳 安藤かなえ あんどう かなえ 兵庫県 長拳13位、剣術1位、槍術2位
10 監督・コーチ 孔 祥東 こう しょうとう 選手強化委員会副委員長兼ヘッドコーチ
11 神庭 裕里 かみにわ ゆり 同 ジュニアヘッドコーチ
12 下起 悦郎 したおこし えつろう 同 強化コーチ
13 帯同審判 王 輝 おう てる 国際審判員