輝け!武術太極拳アスリート ~花野宏美選手・山口啓子選手~

日本武術太極拳連盟・選手強化委員会が認定する強化指定選手の活動や競技に向けた想いなどをご紹介します。

花野宏美選手
花野宏美選手

はじめまして。自選難度太極拳、神戸武術隊所属の花野宏美です。現在同志社大学の3年生です。

武術太極拳との出会い

私は4歳の時に武術太極拳に出会いました。きっかけは3歳の時からカルチャーセンターで空手を習っていた事です。空手教室の前にカンフー体操を教えている竹中先生を偶然見て、空手と長拳の両方がやりたくなったので始めました。小学2年生まで両立していたのですが、手足の出し方の角度の違いに違和感を覚え、「長拳はジャンプとしゃがむ動作がたくさん入っているから今やめてしまったら二度と出来なくなる」と考え、長拳を選びました。

ところが、強化コーチに、身長が高く身体が柔らかいけれど、強化練習に耐えられる筋力が備わっていないと、選手コースには入れてもらえませんでした。年下の子は教えてもらえるのに、どうして私はクラスに入れてもらえないのだろうと、とても悲しく、悔しかったことを今でも鮮明に覚えています。本当は筋力が足りない選手を強化練習で怪我をさせる訳にはいかないというコーチの親心でした。私は幼かったので理解できなくて諦め切れず、「絶対できるようになるから教えて!」とコーチに自ら訴えました。結果、指導はしないけれど練習を見る事は良いよと、特別に許可され、コーチが他の選手を教えているところをずっと観察し、必ず上手くなると信じて真似し続けていました。自分にできる事は絶対にできるようにし、套路は誰よりも早く多く覚えて次の練習でできるように臨みました。コツコツと着実に練習をしているうちにコーチにも努力していることが伝わり、直接指導してもらえるようになりました。

その都度私ができるようになった事を私以上に喜んでくれる周偉先生が大好きでとても嬉しかったです。神戸武術隊の練習は厳しく、メンタルが強くないといくら能力があっても続きません。切り替えの速さ、集中力、観察力を小学生の内から学べる環境に身を置けた事が本当に有難かったです。

恩返し出来る人間に

6年生で国際大会に長拳で出場させていただき、中学生に上がるにあたって太極拳への転向を勧められました。長拳とは違う魅力がある太極拳も好きになり種目変更をして現在に至っています。

日本代表に選出された小学生で日本連盟のコーチ達に出会えた事は私の転機でした。国際大会に出場するにあたり、生まれて初めての飛行機と海外で緊張している中、親のように帯同コーチ達が面倒を見てくれた事は忘れられません。その後合宿などに呼ばれるようになり、日本連盟のチームワークや指導する先生方の能力が高いと知り刺激を受けました。

私は身体能力よりも努力とメンタルの強さや運で続いている選手です。努力していく私に思わず手を差し伸べてくれる人との出会いがたくさんあることに感謝しています。例えば練習環境、表演服、技術指導などは全国の応援してくれる皆さんのおかげです。

現在、審判員や指導員の資格を取得しています。大学では健康運動指導士や小中高の教職免許を取ろうと勉強中です。ゼミでは子どもから高齢者への運動処方は何が最適かを研究し、卒業研究は自選難度太極拳の跳躍動作と視線の関係性について研究していく予定です。

武術太極拳の世界で今後も貢献し、恩返しができるよう、成長します。来年の全日本大会も頑張ります。応援よろしくお願いいたします。

武術的な動きに興味を持ち始めた頃
武術的な動きに興味を持ち始めた頃
花野 宏美 HANANO Hiromi
1998/7/5生 兵庫県出身
所属:兵庫県武術太極拳連盟
学校:同志社大学スポーツ健康科学部3年生
主な競技成績:
■ 2010年 第3回世界ジュニア武術選手権大会 長拳14位・剣術7位
■ 2016年 第24回JOCジュニア大会 太極拳1位 太極剣1位
■ 2017年 第34回全日本武術太極拳選手権大会[自選難度]太極拳5位
■ 2018年 第35回全日本武術太極拳選手権大会[自選難度]太極拳3位・太極剣5位

 

山口啓子選手
山口啓子選手

自選難度競技・女子長拳の山口啓子です。

大阪府茨木市出身、16歳から自選難度にチャレンジし、日本代表として国際大会に出るようになり、11年目となりました。競技選手生活を軸とし、スポーツクラブなどで太極拳インストラクターと、子供たちに武術の指導をして普及活動に励んでいます。

武術で得た人生の宝物

私は6歳で始めてから他の習い事はせず、勉強は不得意でしたが、とにかく武術だけはずっと続けてきました。思春期頃は練習より遊びを優先してしまう時期もありましたが、よりよい競技環境を求めて思い切って地元を離れ上京しました。時には代表選手になれず辞めるか悩んだ時期もありました。人生で初めて入院手術を受ける怪我を負ってしまったり、努力した成果が結果に結ばれ嬉しいことも、人生のどん底だと感じてしまうような苦しいことも、上がり下がり色んなことがありました。

武術を通してたくさんの経験をさせていただいてますが、いつも支えてくれたり励ましてくれたのは武術で出会った家族や仲間でした。

日本には、お兄ちゃんやお姉ちゃんのようないつも頼れる心強い先輩たちがいます。背中を見せなきゃと思わせてくれる後輩たちがいます。中国に行けば、言葉の壁を越えて国境を越えて、”武術”という競技で同じ目標に向かい、苦楽をともに乗り越える仲間と導いてくれる先生がいます。国際大会に行けば、負けず嫌いが集まり、互いに切磋琢磨し、コートから離れると親友になれる友達がいます。

私は武術人生で、この先も一生大切に想える家族や仲間、先生、友達を得ることができました。

どんな苦しい時も諦めず、武術を続けてきたからこそ得た人生の宝物です。

” 金メダル” への想い

私は来年の東京開催のワールドカップを自分の集大成にしようと思います。

目標はもちろん”世界チャンピオン・金メダル”です。

今までの武術人生24年間をぶつけるときです。泣いても笑っても…

今年10月の世界選手権では、金メダルだけを目標にトレーニングに励んできました。しかし、大会直前に負ってしまった怪我の影響もあり、金メダルどころかメダルも獲得できず、これまでの過程を悔やんでも悔やんでも悔やみきれませんでした。

東京ワールドカップも、目指すはただ一つ、私が一番ほしい、金メダルです。初の自国開催。しかも活動拠点の東京です。応援くださっている方々や、慕ってくれている子供たちに輝いた姿を見せる!それが私のモチベーションになっています。

わたしたちの強み

日本の武術競技選手のほとんどは通学や勤務を終えた後の夜の時間帯に練習をします。

海外のプロチームと比べると、練習時間は一日だけで約半分。アマとプロの差を少しでも埋めるために何ができるか日々試行錯誤の毎日です。

生活や仕事のことなど不安な事も沢山ありますが、ずっとその不安と向き合い乗り越えてきて、年々、武術と仕事の両立が充実できてきたと感じます。

どんな環境にも負けない、不屈の精神、それこそが私たちアマチュア日本チームにしかできない”サムライ魂”だと思います。それがこの環境で身につけた精神です。

東京ワールドカップでは、そんなわたしたちの”サムライ魂”をぜひ観てもらえたらと思います!

日本全国から応援していただけたら幸いです。沢山の応援、よろしくお願いいたします!!!

第二の故郷のような中国・福建省のチームのみんなと。
第二の故郷のような中国・福建省のチームのみんなと。
山口 啓子 YAMAGUCHI Keiko
1990/9/12生 大阪府出身
所属:東京都武術太極拳連盟
職業:コーチ、太極拳インストラクター
主な競技成績:
■ 2017年 第14回世界武術選手権大会 銀メダル・銅メダル
■ 2018年 第2回ワールドカップ 銅メダル
■ 2019年 全日本武術太極拳競技大会 自選難度競技 三冠長拳三連覇