「第17回世界武術選手権大会(ブラジル・ブラジリア)」結果報告
金メダル1個、銀メダル1個、銅メダル4個を獲得! 11種目で第4回W杯出場権を獲得!
国際武術連盟(IWUF)主催による「第17回世界武術選手権大会」が8月31日~9月8日(競技は9月3日~7日)にブラジル・ブラジリアのユリシス・ギマラエス・コンベンション・センターで開催されました。
開幕前日のオープニングセレモニーでは、特別演武や地元ブラジルによる華やかなダンスパフォーマンスが披露され、大会の幕開けを華々しく彩りました。
大会には、70の国・地域から835人の選手がエントリーし、世界最高峰のステージで、各国代表が熱戦を繰り広げました。
日本代表選手団(TEAMJAPAN)は、套路競技は男女計6人の選手と監督・コーチ2人、審判員1人、散打競技はコーチ1人、選手1人の体制で参加し、金1個、銀1個、銅4個、計6個のメダルを獲得。全套路選手が入賞という輝かしい成果を収めました。
また、閉会式では優秀成績選手による特別演武が披露され、日本からは荒谷選手と齋藤選手が登場し、堂々たる演武を披露しました。
大会の模様はIWUFのYouTube公式チャンネル(https://www.youtube.com/user/iwufwushu/)でライブ配信されました。映像はアーカイブで、いつでも視聴できますので、ぜひご覧ください。
本事業は、(公財)日本オリンピック委員会(JOC)の選手強化NF事業助成を受けて実施されました。
また、クラウドファンディングでは、225人の方々から、3,102,680円のご支援をいただきました。皆さまの温かいご声援が選手団の大きな力になりましたこと、心より御礼申し上げます。
「第4回武術套路ワールドカップ大会」への出場権を獲得
今大会は、中国・海南島(海口市)で開催予定の「第4回武術套路ワールドカップ大会」への出場権をかけた大会でもありました。日本は11種目で入賞を果たし、ワールドカップの出場権を獲得しました。代表選手たちのさらなる飛躍が期待されます。
国際武術連盟の会議に出席
大会期間中に国際武術連盟(IWUF)の各種会議が開かれ、IWUF総会に孔祥東理事・選手強化委員会副委員長が参席しました。会議では、第4回ワールドカップ(2026年)の中国・海口市開催、第18回世界選手権大会(2027年)のフィリピン・マニラ開催などが決定されました。
今後の国際大会における日本代表の活躍にも、引き続きご注目ください。
竹中保仁審判員が「大会優秀審判員」に選出
今大会から、IWUFおよび大会組織委員会の選考により、審判団の中から優秀審判員を選出することとなり、竹中保仁審判員がマカオ、チリの審判員とともに「大会優秀審判員」として表彰されました。
監督・コーチレポート
国際武術連盟(IWUF)主催の「第17回世界武術選手権大会」が、2025年8月31日から9月8日(競技日程:9月3日~7日)にブラジル・ブラジリアのUlyssesGuimarãesConventionCenterで開催された。
日本代表選手団(TEAMJAPAN)は、武術套路競技に男女計6名の選手、監督・コーチ2名、審判員1名が参加した。また、散打競技には男子選手1名とコーチ1名が参加した。今回の選手選考は、春と夏の2回にわたる選考会で初めて導入されたポイント制に基づき、上位6名を選出した。
目的
武術套路個人競技の男女計16種目にエントリーした。選手数は前回大会より2名少ないものの、2年前のアメリカ開催の世界選手権大会で12種目のワールドカップ出場権を獲得した実績を上回る出場権の獲得を目指した。また、前年を上回るメダル獲得を目標とした。
8月28日・29日の2日間、東京の日本連盟トレーニングセンターにて直前合宿を実施し、最終調整を行った。午前・午後の2日間で全套路の確認や身体のケアを行い、各自のルーティンを重視して調整した。また、ブラジルとの12時間の時差に対応するため、出発前日から現地到着までブラジル時間に合わせた睡眠スケジュールを計画・実施した。
世界選手権大会で2024年ルールが初適用された本大会では、減点箇所の確認や難度動作の加点に関するチェックを慎重に行った。演武規定時間の範囲が従来より厳格化されたため、毎回の計測を徹底した。
成果
日本チームは金メダル1個、銀メダル1個、銅メダル4個の計6個のメダルを獲得した。前年のワールドカップでの獲得数には及ばなかったものの、前回世界選手権を上回るメダル数を記録し、目標としていた金メダル1個を達成できたことは大きな成果といえる。
また、今回の成績により、2026年7月に中国・海口で開催される第4回武術套路ワールドカップ大会に6名の選手全員が計11種目の出場権を獲得した。
大会1日目は、選手の緊張や興奮から、難度動作から連接への移行でミスが見られた。しかし、2日目以降は全員が落ち着いた演技を披露し、練習通りのパフォーマンスを発揮できた。特に女子太極剣の選手は、出場順1番目というプレッシャーの中、見事な演武で1位を獲得した。また、メダルを逃した数名の選手も、B組審判が採点する演技レベルで高得点を獲得し、技術面で世界トップレベルであることを証明した。
課題
以下の点が今後の課題として挙げられる。
難度動作の完成度向上:年新ルール変更に伴い、新しい難度動作や連接、その練習方法やジャンプ方法が従来のやり方と異なるため、早急に技術の習得とバランス制御の強化が必要である。数年前よりは確実にレベルが上がっており完成度は高くなってきてはいるが更なる着地の安定性は求められる。
フィジカル強化:日本選手は他国選手に比べフィジカル面でやや劣る傾向がある。定期的なウェイトトレーニングによる筋力向上と、体幹トレーニングによる安定性の強化が重要である。
メンタルトレーニングの必要性:完璧なパフォーマンスにもかかわらずメダルを逃した種目があった。今後もどんな状況下でも安定した演技を続けるためには、メンタルトレーニングが不可欠である。自己理解を深め、精神の安定や本番前の緊張・集中のコントロールを可能にする日常的なトレーニングが必要となる。
予選への対応:本大会では初めて予選が導入され、出場者50名以上の種目では上位12名が決勝に進出する形式となった。本番回数の増加に伴う集中力の維持やメンタル面の準備が求められる。
今後の展望
来年は第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)と第4回武術套路ワールドカップ大会(中国・海口)が控えている。今回の大会の反省点を克服し、1年間で計画的な練習を早急に進めることが鍵となる。
クラウドファンディングのご報告
本大会の遠征にあたり、クラウドファンディングでは3,102,680円のご支援をいただきました。皆さまの応援が選手団にとって大きな力となりました。心温まるご協力に、選手団一同、心より御礼申し上げます。
参加国・地域別 獲得メダル数(套路)
順位 | 国・地域名 | 金 | 銀 | 銅 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 中国 | 8 | 8 | ||
2 | マレーシア | 5 | 1 | 2 | 8 |
3 | 中国香港 | 3 | 6 | 3 | 12 |
4 | 韓国 | 2 | 1 | 2 | 5 |
5 | 中国マカオ | 1 | 3 | 1 | 5 |
6 | インドネシア | 1 | 2 | 1 | 4 |
7 | 日本 | 1 | 1 | 4 | 6 |
8 | イラン | 1 | 1 | 2 | |
9 | 中華台北 | 3 | 1 | 4 | |
10 | シンガポール | 3 | 1 | 4 | |
11 | フランス | 1 | 1 | ||
12 | イタリア | 1 | 1 | ||
13 | ベトナム | 1 | 1 | ||
14 | フィリピン | 1 | 1 | ||
15 | アメリカ | 1 | 1 | ||
16 | ブルネイ | 1 | 1 | ||
合計 | 22 | 22 | 20 | 64 |
第17回世界武術選手権大会(ブラジル・ブラジリア)」 日本代表選手団名簿
日本代表選手団(TEAM JAPAN)名簿と成績
№ | 種目 | 性別 | 氏名 | よみがな | 所属 | 出身 | 出場種目 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 太極拳 | 男 | 荒谷 友碩 | あらや ともひろ | 千葉県 | 千葉県 | 太極拳6位、太極剣3位 |
2 | 長 拳 | 髙木 勇吹 | たかぎ いぶき | 愛知県 | 愛知県 | 長拳予選15位、刀術7位、棍術6位 | |
3 | 長 拳 | 安良城基睦 | あらき もとよし | 大阪府 | 大阪府 | 長拳予選18位、剣術5位、槍術3位 | |
4 | 太極拳 | 女 | 齋藤 志保 | さいとう しほ | 岩手県 | 岩手県 | 太極拳3位、太極剣1位 |
5 | 長 拳 | 貴田菜ノ花 | きだ なのは | 大阪府 | 兵庫県 | 長拳予選18位、剣術2位、槍術10位 | |
6 | 長 拳 | 池内 佳奈 | いけうち かな | 埼玉県 | 埼玉県 | 長拳6位、刀術3位、棍術9位 | |
7 | 監督 | 孔 祥東 | こう しょうとう | 選手強化委員会 副委員長兼ヘッドコーチ | |||
8 | コーチ・役員 | 丹井 均 | たんい ひとし | 同委員会強化コーチ | |||
9 | 竹中 保仁 | たけなか やすひと | 審判委員会委員長、国際審判員 | ||||
10 | 散 打 | 男 | 村瀬 崚馬 | むらせ りょうま | 65キロ級 1回戦敗退 | ||
11 | コーチ | 岡部 武央 | おかべ たけひさ | 総合武道研究会玄武館会長 |